−10dB送信アッテネータ  2004.1.16

なす電信コンテストでは、送信電力が小さければ小さいほど高得点を得られるルールになっています。しかしQRP用でない無線機ではいくら絞っても5Wくらい出てしまうため、無線機単体ではそれよりパワーを下げることはできません。そこで今週末のなす電信で試すべく、部室にある材料でさっそく製作してみました。

アッテネータは1年位前、無線部の先輩はし本さんに教えていただいたのを見ながら設計しました。といっても最後に導出される式さえ知っていれば簡単に作れます。(導出は難しい・・・)

---アッテネータの計算
興味のある方はどうぞ ---

RIGで生成された高周波は、アッテネータ(以下ATT)部で電力が消費され熱になり、残りは負荷RL(アンテナや、ダミーロード)へ行き、電波は放出(ダミーロードの場合消費)される。こうして電力は減衰する。このときRIG側からATT見て、負荷RL(通常50Ω)になっていれば電力だけを減衰し、インピーダンスを狂わせることのないものが出来上がる。

上記のように、RIG側から見て負荷RLになるようにR1、R2を設定する。


であるから、式を変形して
  

また、出力は負荷に掛かる電圧の2乗に比例するので
  

@、Aを満たすR1、R2を求める。



あとは頑張って計算すると・・・

と、なるそうです(^^;
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上で与えられた式より、RL=50Ω(ですよね、普通)と、減衰率1/10(−10dB)より、を代入すると、



となる。この値で配線をすれば−10dBのATT完成!・・・ですが、このままアンテナにつなぐと受信信号まで−10dBになってしまうので、リレーを使って受信時はスルー、送信時だけATTが働くようにしてあげればいいです。


※注意:リレー駆動回路図が間違っています。(リレーはコレクタ側に入れます)


このように非常に簡単な回路で実現できますが、一番気をつけなくてはいけないのは抵抗の耐電力です。通常の抵抗は大きくても2〜3W程度の耐電力しか持っていません(セメント抵抗や、ホーロー抵抗などは耐電力が大きいが、周波数特性が悪いので適さない)。そこにRIGから5Wや10Wを加えたら燃えてしまうので、直列や並列にして耐電力をあげてあげます。

ご存知のとおり、電力は電流と電圧の積ですから、直列にすれば1つあたりの電圧が半分になるため耐電力は2倍になり、一方並列にしても電流が半分になるので同じく耐電力は2倍になるはずです。(なんか不思議な気がしますが)

とりあえず、瞬間最大20W程度耐えれば十分ですので3Wの抵抗を4つ用い、2直列の抵抗を2つ並列にし耐電力をあげることにしました。
実際に売っている抵抗の組み合わせにせざるを得ませんので、若干ずれますが以下のように設定しました。

○R1=72Ω ⇒ 71.5Ω
○R2=96Ω ⇒ 95.5Ω



※実際にテスターで両端の抵抗値を計ると51.3Ωでした。問題ないですね。



○完成品


部室にケースがなかったのでむきだしのままです(^^; PTT端子はφ6のモノラルジャックをとりつけ、zLogのCWインターフェースのPTTコネクタを接続します。zLogの設定でPTT Controlにチェックをつけ、送信遅延100ms、受信遅延を200ms程度にするといい感じでリレーが切り替わりました。このあたりは好みなのでいろいろいじってみてください。

送信電力ですが、20W入れても平気でしたが、すぐに熱くなるのでやはりRIGのパワーを最低に絞って5W程度でやるのがいいと思います。将来的にはちゃんとケースに入れて冷却ファンもつけたいなと思っていますが、とりあえずこのバージョンでなす電信に参加予定です。



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